ゴム状のベルト式履帯(キャタピラ)を愛しています。車体に巻きつけるだけで履帯が完成するなんて素晴らしいじゃあないですか。すごく簡単でハッピーなのに、そのハッピーさを損なう致命的な問題があります。それが履帯のたるみ表現であります。
最初に戦車を作り始めた頃は、たるみのありなしなんて事は全く気にならず、大喜びをしていたものですが、徐々に「これで良いのか」感が出てきてしまい、どうにもたるませる努力をしないのは人として如何なものか、と思うようになりました。とはいえ別売りの履帯を買ってきてどうこう、というのは望むところではないので、付属のポリ製(ゴム?)履帯でどうにかたるみをつける事にいたします。
今回はピアノ線を車体に貫通させて、無理やり履帯を引っ張ってたるみを表現する方法にチャレンジしてみましたのでご紹介します。
実験という事で、これでもかっというくらいに無理やりたるませた履帯。誇張しすぎた感はあるのですが、結局のところ飾ってみると、これが実に雰囲気が良くて格好良いのであります。
ピアノ線は以前アンテナ用に買った安価なものですが、巻きグセを直そうとするとぐにゃぐにゃになって心が折れた問題により道具入れに無造作に突っ込んであったものです。ペンチはじい様から受け継いだ相当古いもの。
こちらはタミヤの精密ピンバイス。プロクソンのドリルをつけて使っています。とても用途が多いため買っておいて損はないものです。説明書に穴を開けい、と書いてあることもありますし、こういった工作用の穴を開けたり、フィギュアの塗装の持ち手をつけるのにも使います。細めの砲身で砲口があいていなかったものがあり、砲口を開けるのにも使いましたが、精密感がぐっと上がって幸せな気持ちになりました。
ゼリー状の瞬間接着剤は100円均一のダイソーに売っていたセメダインのものを使いました。
タミヤのベルト式履帯のたるませ工作
今回のたるませ実験の実験台には、一式砲戦車くんを使う事にします。車体に穴を開ける、というのはどうも抵抗があって高いキットではやりたくありません。今回は実験用ということでリーズナブルなキットで実験なのであります。
車体の組み上げ
車体にピアノ線を貫通させるので、工作の関係上、車体の上部は取り付け前に工作を行った方が良いです。すなわち下記の状態ですね。この工作はあらかじめやる前提で組み立てを進めていかないと、後になってからでは真鍮線を通すのが大変で心が折れるので注意です。
ピンバイスで穴を開ける
履帯を車体に巻きつけたら、最もたるませたい頂点にあたる部分にピンバイスで穴を開けます。ピンバイスのドリルで履帯のたるみを確認しつつ、えいやっと穴を開ける感じですね。
こんなところに穴を開けて大丈夫だろうか。もったいないよう、という思いを断ち切って強い気持ちで穴を穿ちましょう。これを左右に行い、ペンチで切断したピアノ線を通します。それぞれの頂点にピアノ線を通した結果がこちら。
反対側はこんな感じ。
たるみ過ぎているような気もしますが、かっこいい感じなので良しとします。また穴は履帯に隠れてしまって全く見えませんし、ピアノ線自体もよく見えないですね。これはなかなかに良い感じ。
ただ上部支持輪の前後は不自然に浮いている感じがするので気になるところ。本来ならもっとすぐ下に垂れるべきなのですが、、一度上部支持輪の左右すぐのところに穴を開けてピアノ線を通して見ましたが、思うような形になりませんでした。この辺はまだまだ探っていかねばです。
またゴム履帯はかなり反発力があり、車体の外側が内側より跳ね上がってしまってややねじれて見える部分が出てしまいました。ピアノ線の太さや履帯への接着の仕方で改善するかもしれませんが、これでバッチリだね、というレベルには至っていません。
ピアノ線を固定する
そのまま差し込んだだけだと動いて抜けてしまうので、ゼリー状の瞬間接着剤で固定します。液状のものでも大丈夫だと思います。
履帯の塗装
履帯は一度外してから塗装をする事にしているので、位置を決めたところで外しておきます。履帯の塗装は下記の記事でやっているのと同様の手法でそれらしくしています。
最近は仕上げのドライブラシをシルバーでやるのがお気に入りなので、ラッカー塗料のシルバーを使ってギラギラに仕上げました。
履帯を装着して完成
塗装した車体に履帯を噛ませて、車体下部のウェザリングをしたら完成です。
たるみました!
ちなみに以前作ったたるみの無い一式砲戦車くんがこちら。
こうやって見てみると、たるませた方がやはりグレードアップ感ありますねぇ。
レベルアップした感じがします。
振り返り
履帯のたるみは、
- 無いよりあった方がよい
- だからと言ってやりすぎるのはよくない
- 適度にたるませる大人のバランス感覚が大事
という感じでしょうか。
ただ一口に「履帯をたるませる」と言っても、そこには色々な人がチャレンジしてきた様々な手法があるようです。どれがもっとも自分にあっているか、素材との関係性も考えつつ、見極めていきたいところであります。
今回やって見たピアノ線による押さえつけ方もまだまだ改善しないといけない部分が多数みられます。まぁそこそこ手軽ですし、楽しいので良いのですが、他の手法にも今後チャレンジして見たいと思います。履帯に真ちゅう線を這わせてたるみの形状に合わせる方法なんて、クオリティ高そうでとても良さそうですし。
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